ガバナンスGOVERNANCE
基本的な考え方
ノーリツ鋼機グループは、リスクを事業計画の進捗を阻む可能性のあるものと捉え、経営と事業に影響を及ぼす可能性のあるリスク要因につき、それぞれのリスクの発生可能性と当社に対する影響度を評価したうえで、重要リスクを特定しています。特定した重要リスクについて、リスク発生要因の分析と発生防止の取り組みを推進する一方、回避できないリスクに関しては個別に検討を行い、的確な管理と影響の低減を図っています。
取り組み
2023年は、グループ全体及び各社においてリスクアセスメントを実施し、リスク管理統括委員会で審議、対応策の検討を進めました。また、グループ各社において、BCPに基づくシミュレーション訓練を実施しました。今後は、アセスメント結果により策定した対応策を推進すると同時に、グループ全体及び各社を対象としたリスクアセスメントを継続実施していきます。また、グループ全体及び各社におけるBCPの再評価も推進していきます。
主なリスクと対応
気候変動リスクや人的資本に関わるリスクを含む各種リスクを、短・中・長期的な視点で定期的に評価・可視化し、リスクの発生防止策及び顕在化した際の対応策を検討することで、円滑な企業運営を阻害する不測の事態に備えています。
リスク | 発生可能性 | 影響度 | 対応 |
---|---|---|---|
為替リスク | 大 | 中 | ノーリツ鋼機グループは国外売上が連結売上収益の90%以上(2023年)を占めるグローバル企業です。多種多様なファンダメンタルズ*1に影響される為替の変動は、その発現時期が予測困難であることから、主に本邦通貨建を中心に取引を行うほか、外貨建の債務と債権が同額になるよう調整するナチュラルヘッジを実施することにより、為替変動の経営への影響を最少化しています。 |
カントリー リスク |
中 | 中 | 全世界で事業を展開する当社グループは、各国・各市場における景気後退、あるいは予期しない事故や災害、法規制の変更等に影響を受ける可能性があります。当社グループは、世界市場の動向を注視・分析するとともに、顧客企業や取引先との日常的なコミュニケーションを通じてカントリーリスクの適切な管理を行っています。 |
取引先の 与信リスク |
小 | 中 | 当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する時期は予想が困難ですが、ノーリツ鋼機及びグループ各社は、取引先の個別与信の判断や各業域の取引慣行に関して豊富なノウハウを蓄積するとともに、すべての営業債権について、グループ方針に則って予想信用損失を引き当てる等、取引先の与信リスクが引き起こす不測の事態に備えています。 |
生産活動 に関するリスク |
中 | 大 | 当社グループの製品の多くは、国内の工場やアジア拠点の委託先で生産しており、天災・人災等による工場設備の損壊や大規模な自然災害による電力需給の逼迫等により、生産活動に支障が生じる可能性があります。当社グループは災害発生時にも円滑な生産活動を継続できるよう、事業継続計画(BCP)を策定し、本計画書に基づき、早期の操業再開や迅速な施設・設備の復旧を可能にする万全の体制を整備しています。 |
サイバーリスク | 小 | 大 | 当社グループは、事業活動を通じて顧客や取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。当社グループでは、情報セキュリティポリシーを制定し、これに基づき安全性及び信頼性の確保に万全を期すとともに、特に関連性の高いグループ会社では「プライバシーマーク」を取得する等個人情報保護に努めています。 |
知的財産 に関するリスク |
小 | 大 | 当社グループは、価値創造の源泉である当社グループ所有の特許やその他の知的財産が第三者により不法に利用されることのないよう、技術・情報の適正な管理と使用を推進しています。また、当社グループの認識の範囲外で第三者から知的財産権を侵害されたと主張されることを防ぐため、徹底した事前調査と措置を講じています。 |
企業買収 に関するリスク |
中 | 中 | 当社グループは、企業買収を経営ビジョンや成長戦略の具現化に寄与する有力な手法と認識しています。買収案件の実行にあたっては、対象企業の資産内容や事業状況についてデュー・ディリジェンス(適正価値精査)を実施し、リスクの可視化を図っています。また、最重要会議体で適宜報告・議論を行う体制を構築し、当社グループが期待する利益成長やシナジーの実現を阻むリスクに備えています。 |
のれん に関するリスク |
中 | 中 | のれんは事業の買収・統合により期待される将来の収益力を適切に反映したものですが、事業環境や競合状況の変化に伴い期待する成果が得られない場合は減損損失が発生し、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。企業買収に関するリスクへの対応と同様に、事業環境の定期的なモニタリングのために最重要会議体で適宜報告・議論を行う体制を構築し、収益性の適切な管理及び施策の実行により、リスク軽減に努めています。 |
サプライチェーン に関するリスク |
中 | 大 | 生産に使用する部品や材料は、国内外から調達しており、世界的な需給動向や輸送環境による影響に加え、社会的要請による人権や環境配慮の観点からも高度な対応が求められています。当社グループでは、代替部品や材料の検討、設計の工夫や調達先の多様化また適正な価格転嫁及びサプライチェーンにおける人権リスクの可視化やその対応を推進することにより、これらのリスクの低減に努めています。 |
気候変動 に関するリスク |
ー*2 | ー*2 | 当社グループは気候変動への対応をマテリアリティの一つに掲げ、2022年10月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しました。気候変動が事業に与えるリスクや機会を正確に把握し経営戦略に反映させるとともに、ステークホルダーへの適時・的確な情報開示に努めています。 |
- *1国や企業等の経済状況を示す指標
- *2気候変動に関するリスクの評価については、気候変動への対応ページ参照